極彩色アリス

大階段を上がるとき色欲と暴食、嫉妬に会う。
怯えるような色欲に睨みを効かせてからその横を通り抜けて2階へ行く。

自室に入ろうとしたとき、ひび割れた窓ガラスが目に入った。
昨日のままの窓ガラスに手を添えて撫でる。
飛び出ていた破片で指の腹を切ってしまい、痛みで反射的に手を引いた。
プックリと血が滲み出て、一筋の線を描いて床に垂れた。
私が人間の証。
認められなかった私の存在はここできっと大きな意味になるだろう。

そう、【アリス】という意味に。

まぁ、その存在意義もどうでもいいし、めんどくさいものなんだけど。
ここに来てしまった以上、後戻りは出来ないし。
残り7日の日々を自分らしく楽しめればいいかな。

口元が自然と緩んでしまう。
薄ら笑いを浮かべながら部屋に入る。
この館で唯一見慣れた風景にようやく一息つけた。
ベッドに寝転び伸びをする。

パーカーのジッパーを開けてリラックス出来たところで、放り出されていた本を手にとって栞が挟まっているページを開いた。

ここに来る前に読みかけだったから、こうして続きが読めるのはとても嬉しかった。

本は楽しい。
私に笑顔をくれるたったひとつの方法。

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