極彩色アリス
足りなくなった酸素を補給したくて口を開いた。
止まっていた時間が再び動き出す。
その時、何処からか声が聞こえてきた。
「怠惰ちゃーん? また寝坊ですか?」
私が寝ていると思っているのか、強欲が部屋をノックしながら声をかけている。
返事をしようと口を動かそうとした。
瞬間、顎を掬っていた手が口を塞いできた。
発言を止められ、驚きと疑問で目の前の男の人を凝視してしまう。
強欲は何度か私の名前を呼んだあと、諦めたのか一階に戻っていってしまったようだ。
足音が遠ざかり、聞こえなくなってから漸く解放される。
大きく息を吸ってからこいつを見る。
『ドードー鳥』
「え、」
『アイツは色欲の従者で幻術を得意としている。 弱った心や脆い部分に漬け込まれないように、気を付けろよ』
優しい言葉を残して口をつぐんでしまう。
【ドードー鳥】…。
何のことか聞こうと思った矢先、突然の罵声が聞こえてきた。
耳を塞ぎたくなるような大声は憤怒のものだということが一発でわかった。
おそらく、いつまで経ってもダイニングに向かわない私を呼びに来たのだろう。
……部屋には居ないんだけど。