10回目のキスの仕方

世話の焼ける二人

* * *

「ねぇ…洋一。」
「待て、明季。言いたいことならわかってる。」
「…初々しすぎて…。」
「こっちが恥ずかしい、よな。」

美海は涼しげなワンピースを着ている。歩くたびにふわりと揺れるシルエットが女の子らしくて可愛いと明季は思う。化粧をしなくてもそこそこ可愛い顔だということは知っているが、やはり女子大生たるもの化粧はナチュラルに美しさを引き立たせる程度には必要である。毛先も軽く巻かれていて、見た目にわかりやすい『恋する女子』そのものだ。

「…でも、美海、ちゃんと可愛くて安心した。」
「は?」

明季に怪訝そうな表情を向けたのは洋一だった。

「美海がちゃんと笑ってるとね、安心するの。あ、水族館入るみたい。あたしたちも行こう!」
「はいはい。」

デートが始まっておそらくもう2時間は経つであろうというのに、一向に手を繋ぐ様子もない。ただ美海が時折少し頬を赤く染めながら圭介の隣を歩いている。中学生かとツッコミを入れたくなるくらいにはピュアなデートだ。

「2400円になります。」
「はい、お願いします。」
「え、洋一いいよ!ちゃんと払うよ。ってか誘ったのあたしだし。」
「別にいいって。ほい。」

チケットをスキャンして、館内に入る。美海と圭介とは一定の距離を保ちながら歩く。

「はぁ…ほんっと…世話の焼ける二人。」
「世話を焼きたい二人だろ?」

洋一にそう言われてみると、そうな気もした。心配していないわけではない。気にはなっている。それこそ美海を傷つけてボロボロにしたら、きっと明季は圭介を許すことはないだろう。ただ、圭介がそんなことをするような人には見えない。むしろその逆だ。

「…そうかも。」
「明季ってお節介な奴だな。」
「はぁー?失礼ねー!」
「まぁ、いい奴だけど。」
「ますますはぁ?」
「普通に楽しまない?せっかく入ったのに尾行だけとかつまんないから。」
「…もうちょっと、二人を見てから。」
「はいはい。」
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