レオニスの泪
予報では、雨が降るなんて言っていなかった。
ハズレの空は、この時間帯、ほぼ眠りについている人達には関係のないことだろう。
しかしー
「…待ってたり…しないよね…」
神成は、どうしているだろうか。
果たして、先週の約束を果たしに、あの公園に来たのだろうか。
突然の雨だ。
万が一来たとしても、帰ったに違いない。
ー本当に?
雨水に叩かれて、一気に冷え込んだ窓に額をくっつけながら、形容しがたい思いに駆られる。
雨はいつから降ってたんだろう。
「っっ」
いてもたってもいられなくなって、直ぐに鍵と携帯を引っ掴んで家を出た。
ー馬鹿かな、私。
階段を駆け下りながら、自分にまた、問い掛ける。
ー来なかったかもしれないのに。
きっと、帰ってるに違いないのに。
だって、もう約束の時間から2時間も過ぎてる。
なのに、どうしてか、いるかもしれないと思うなんて。
こんな時間に、こんな大雨の中、女一人で、傘差して疾走してるとか。
ー馬鹿以外、ないでしょ。