レオニスの泪
ー終わった。
そう思った。
元々、あるようで無かったような薄弱な関係だった。
なんで、診てくれているのか分からない位の理由で、ギリギリのラインで、医師と患者の関係を保っていた。
終わらせようと思っていたのは自分だ。
ーだから早く、もっと早く、あの時、断ち切っていればこんなことにはならなかったのに。
最悪だ、もう辞めたい。
仕事に戻ることができても、顔を合わせるのが辛い。
神成が雇ってくれるという口約束に乗ろうなんて思ってもいないけど、兎に角その線も消えた。
どこか遠い所。
とりあえず神成に会わなくて済む、遠い遠い国か街か村かなんかに行かなくては。
いつもは超現実的だと言われる私が、超非現実的な逃走計画を練っていると。
コン、コン…コン
控え目なノックが。
ーーーーーーーーー!!!!?
真後ろでして、心臓が凍りついたかと本気で思った。