レオニスの泪
翌朝。
どう伝えれば良いか、思案に思案を重ねたが、余り良いアイディアは浮かばず、結局単刀直入に言うしかないと腹を括る。
「うー、……あふろ……」
「あの、、、慧……」
緊張しているせいか、自分のプレートには手を付けることも出来ず、我が家でアフロと呼ばれているブロッコリーと睨めっこしている慧を前に、切り出す。
無言の慧は、フォークに刺さった緑のアフロから、涙目を私に向けた。
「今日の夜、なんだけど、しっ、神成先生がね、ご飯食べに行きませんかって。慧も一緒に!って言ってくれたんだけど、どうする?」
心の中で、失敗したと思った。
反省点は、どもった事。どうするって慧に判断を委ねてしまった事。
これじゃ、内心焦っているのがバレてしまう可能性大だ。
動揺し過ぎ。
親として恥ずかしい。
「あふろ……いない?」
でも慧は、至極真面目な顔をして、そう訊ねてくる。
「……いないかどうかは分からないけど、多分頼まなければ出てこないよ。」
痛い所を衝かれず、少しだけほっとしながら、答えると。
「じゃ、行く!」
ス、と涙を引っ込めた慧は、無邪気に笑った。
「そっか、分かった。」
それを見て、私も安堵の笑みを浮かべた。