【完】向こう側の白鳥。
一ノ宮先輩の前で曝してしまった失態に、羞恥で頬が熱くなる。
「最近の柚子、いつもボーッとしてるんです。」
「な、菜子ちゃん!」
私達の会話を聞いていた菜子ちゃんが絵を描く腕を止め、私達の方へと向き直る。
「まるで心ここに有らず!! ……的な?」
お願い菜子ちゃん、余計なこと言わないで……!
「……本当?」
「う……。」
そして一ノ宮先輩も、こういうときに限って私にまで話を振って来る。
最近ボーッとしていたのは、クラスの子にも何度か言われて自覚していた。
だから、流石に嘘とは言えず……。