幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「覚悟は、決めておいてくれ」
池田屋の前は、嫌だ、死なないでと泣き叫ぶことができた。
死ぬなら、一人でも多くの敵を斬って死ね。
そんなふうに。
ああ、そうだ。
あのとき……あたしは自分で言ったんだ。
『最後まで、人として生きろ』と。
「覚悟なんか、決められないよ……」
総司が死んでしまったら、あたしはどうなってしまうのか、自分でも想像がつかない。
「でも、心配しなくていいよ!あたしも新撰組の一員だもん。最後まで戦いぬいてみせるから」
「追い腹を斬ったりするなよ?」
「しないよ。もう、昔みたいなことは言わない」
生きたくても、生きられない人もいる。
それなのに、自分勝手な理由で、命を終わらせていいわけがない。
あたしは、散った仲間たちと、総司の遺志を繋いで生きていくんだ。
総司が今まで命がけで守って、愛してくれた自分を、終わらせたりしない。