幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


「総司!無理しちゃダメだって言ったのに……」


「がはっ、はあ、ぐっ、が……」


総司の口から、ぼたぼたと赤い血が落ちる。


それは水たまりの中に落ちて、波紋を広げていった。


赤く染まる水たまりに、不安が増していく。


あたしは総司も土方さんも助けることができないの?


そんな……朧はきっと、あたしに意地悪を言おうとしただけだよね?


岡崎の純血の忍は、お高くとまっていて性格が悪い人が多かったもん。


ただ、あたしたちを動揺させようとしているだけ……。


そう思いこもうとするのだけど、朧の不吉な予言がいつまでも胸に影を落として消えなかった。



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