幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「おいおいおい!土方さん、悪いことは言わねえから、やめとけって!」
まだ刀を持った敵を捕縛している途中の原田先生が、遠くから心配そうに叫んだ。
「心配無用だ!」
副長は鬼神のごとき速さで踏み込み、銃弾が放たれる前に、相手を一刀で斬り伏せた。
速い……!
「ぐわあああぉぉっ!」
その間にも、総司は敵の首をつかみ、容赦なく噛みつき引き裂く。
「くっそおお、化け物め!」
──パン、パン!
連続した銃声が聞こえるけど、血が舞うことはなかった。
総司はどうやって見ているのか、それを獣以上の速さで避け、敵に向かっていく。
「撃つなぁぁぁっ!」
なおも仲間を狙撃しようとする敵の銃に向かい、あたしは苦無を投げつけた。
暗くていつも以上に狙いがつけにくかったけど、何本かは銃や敵の腕に当たったみたい。
「やるじゃねえか、小娘!ちったあ役に立つもんだな!」
そんな憎まれ口をたたくと、副長は振り向きざまに、背後から近付いていた敵を斬り捨てる。
ちったあって……どうせあたしは、戦闘ではほとんど役に立ちませんよ。
とにかくこうして、もののけと同化した敵との戦いでは、あたしたちは勝利をおさめた。
ほどなく銀月さんがやってきて、川から上ってこようとした水辺のもののけを撃退したことを知った。