蕾 〜A bud of fate〜

・夜の病院は怖い。あらゆる意味で。

暗闇の世界に時計の音だけが静かに響く部屋で俺は目覚めた。


寝てたのか、俺。


今何時だ?

近くに置いていた携帯を開きディスプレイの時刻を確認した。




只今の時間…18:50…
19時前か…






…………!?


俺は時計をさっきよりも激しく二度見した。

時間が戻るわけないが。
見間違いかも…しれない、し?


まぁ…何度見ても18:50…あ、51分になった。



確か、花朔は19時に病院の横の公園に来いって言ってたな…

あの病院って、ここから自転車で30分ぐらいだった記憶が。

もう諦めよ…ゆっくり用意しよう。

どうせ待たす言うても、寂しがりと化け猫やし。


そうして俺は用意し始めた。

あぁ、ご想像の通り、寝てました。

あぁ、寝てたよ!
なんなのっ
寝たら駄目なの!
気付いたら寝てたんだよ!

シャワー浴びて、自分の部屋に戻ってゴロゴロ、たまにソワソワしてた所までは記憶はある。

疲れてんだな、俺。

俺、お疲れ様。


とりあえずパンツしか履いてなかったので服を装着。
携帯と財布を持ちリビングに参上。

今の時刻?
19時05分だよ。


もう諦めの境地に入った俺には時間は関係無い!
時間になんか縛られない!



……馬鹿な事考えてないでそろそろ行くか。


チャッチャッチャッチャ-♪
チャッチャッチャッチャ〜♪


携帯が鳴ってる。

ちなみに着信音は火サス。

ナイスセンスだろ?



ディスプレイには花朔と表記されている。


「なんか…めんどくさくなってきた。」


ドタキャンモードに入りながらも電話にでたよ。

優しいからな。

「はい、華巳建設です。」
「あ、華巳建設様ですか?夜運君居ます?」

「あー…ただいま夜運は出ております。」

「ん、そうですか。なら夜運君にくだらない芝居してないで早く来ないと、お前の家の全ての柱の下にシロアリ忍びこますって伝えといてください。」

「ちょっ、おま、シロアリはやめろ! ってかくだらんとか言うn…あ、切りやがった…」


行かないとシロアリとか酷いや…
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