暴走族に愛された不登校女子。
「杏ちゃん、連れてきたよ」
「お」
音楽室にいつの間にか着いていて、
目の前には静くんが微笑んでいた。
「静くんっ! 元気??」
「昨日会ったばっかじゃんか」
「えぇー?? 何か昨日じゃない感じがするよ。そうだよね、智さん?」
振り返ると智さんの姿はなかった。
やっぱり元気が空回っているのは、気のせいなのかな。
「…杏。智さんってさ、いつもあぁなの?」
「え?」
「学校では元気そうに見えるけど、時々街中で見かけたときには暗い顔してた」
「…暗い顔?」
「うん…、どっちかって言うと怖いかな」
静くんが気にしているのは珍しい。
だけどあたしも智さんのことは、何にも知らないのだ。