暴走族に愛された不登校女子。






「…今日、色々聞いてみるつもり。


でも元気はあると思うから、大丈夫!」



「そっか。ならいいね」






静くんがまたピアノを弾き始めた。


その音がゆっくりと耳に流れ込む。



昔もこの音が好きだった。





「…っと。メールだ」


「蒼太、からでしょ?」




あたしが携帯を開くと静くんが言う。その通りだった。



「昔から、杏にベタ惚れだったもん」



「そうだったの?」



「鈍いよね」




静くんが柔らかく微笑んで、言葉を繋げた。




「なんて?」



「ん? 何してるー、だってさ。全く…」


「蒼太らしいね」




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