暴走族に愛された不登校女子。





「…でも、僕の見間違いかもね」


「静くんが間違えることなんて、あんまりないじゃんか」




そう言うと、少しだけ笑みが消える。




「……まぁ。何かあれば、僕になり杏になり言うんじゃない?」


「あれ。静くんって仲いいの?」


「まぁまぁかな。この学校に来たとき、僕はずっとピアノを弾いてたんだ。

そしたら、智さんが来て話しかけてくれたんだ」





静くんは昔から口下手だったから、友達が出来るか不安だった。






(だけど…よかった。智さんなら、凄く素敵な人だから気も合うだろうし)






「杏…、誰にだって深入りすることはよくないんだよ。


これはちゃんと覚えておいて」




「どうして? あたしは皆の悩みを少なく…」



「そうやっていつも皆の情報を聞きすぎて、疲れちゃって。友達関係が崩れたじゃないか」



それを言われて、黙るしかなかった。





「僕はもう…見たくないんだよ…」





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