暴走族に愛された不登校女子。
「返信の仕様がないよー…」
呆れ顔で言うと、静くんが一度黙った。
あたしは気になって静くんを見つめた。
「どうしたの?」
「いや。考え事してただけ。それにしても、杏は鈍いんだね」
「それ……さっきも…」
「ううん、蒼太じゃなくて」
「え?」
静くんの表情が寂しげに見えた。
ふと思えば、静くんは昔と大きく違うところがある。
それは身長が伸びたことじゃない。
雰囲気が大人っぽくなっているのだ。
「何が鈍いの?」
問い詰めれば、静くんも隠す必要がなかったのか口を開いてくれた。
「智さんのこと。あれ、きっと恋してる」
「え…、恋……?」
あの時、確か恋はもうしたくないって―…。