暴走族に愛された不登校女子。






「っふ、気づいてなかったの?」




静くんがくすぐったそうに笑みを見せた。



「わ、分からなかった…」



馴染み深い曲だったから、つい誰かの曲を弾いているのかと思っていた。






新事実に驚きを隠せないでいると、静くんが喋り続けた。



「でも嬉しかった。僕の曲を杏がずっとお店で売られている曲だと思っていてくれたから」





「……売り物なんかじゃないよ。だってさ、この曲。今思えば静くんの感情が入っているでしょ?




それってさ、お金には代えられないものだと思うよ」







微笑み返せば、少しだけ驚いた表情を浮かべていた。


「やっぱり、杏らしいね。そういう意見くれるとありがたい。





来てみ? 楽譜、僕の手作りなんだよ」




静くんが心を開けば、こうやって自分の曲を教えてくれる。





「本当だ…、今までいっぱい曲を聞いてきたけど、これはオリジナルって気づかなかったなぁ」





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