暴走族に愛された不登校女子。
そう言ったとき、少しだけ曇った表情を浮かべた。
でもすぐに笑みに戻した。
「そうだね」
(どうしたのって、いつもなら聞くけど…)
だけど。
さっき静くんは言ったのだ。
「深入り」はよくないと。
だから、聞くのは我慢しておいた。
「…本当に変わらないね」
静くんの声が窓から流れ込んだ風の音で、何1つ聞こえなかった。
そっと頭を優しく撫でてもらって、凄く安心した。
気がつけば、あっという間に放課後になっていた。
「そろそろ、智さん来るかな」
「気をつけてね」
「うんっ」