暴走族に愛された不登校女子。
「…なんだお前。家出か?
まるで“捨て猫”みたいなヤツだな」
捨て猫??
それでもいいよ。
「拾ってくれるの…?」
「…意外と可愛い声じゃねえか…」
声が近づいて、あたしの目の前で立ち止まる。
石垣は高さが低いため、見下ろされている感じになった。
「…可愛いな。お前。俺の花嫁にしてやってもいーぜ…?」
怖いほどに彼の瞳に惹き込まれる。
その視線から逃げるように逸らせば、彼の服装が視界に入った。黒いパーカーを羽織って厚底のあるブーツを履いている。
「貴方は…誰…? 王子さま?」
この歳になっても、王子さまを信じているなんて。馬鹿にされるだろうと思って俯いた。