暴走族に愛された不登校女子。
「へぇ…」
「女なんて興味ないって感じだったから。正直杏ちゃんが来てびっくりした」
「…智さんはどこかで会った?」
一応、さん付けで呼ぶと微笑んでくれた。
「杏ちゃんが攫われたときに、直樹と一緒に行ったんだ。そこでキミたちが付き合っていると知ったよ」
「そうなんだ……」
「直樹ってば、すんげぇ極悪面で相手に殴りかかってさ、1分もない内に片付けちゃう人だからね」
「わぁ…」
他にも直樹の喧嘩話を聞かせてもらっていると、上の階から窓ガラスが割れる音が聞こえた。
「あちゃー…、また誰かやったなぁ」
「いつものことなの?」
「そそ」
不良はやっぱり、あたしの住む世界とは異なる。
暴力を簡単に出来てしまうのだから。
―だからあたしは。
蒼太の傍にいれることがだめなんだと感じていたのだ。