暴走族に愛された不登校女子。
「あ。でも直樹は滅多に人を殴らないよ。
アイツはただの暴走族だから」
「不良と暴走族は何が違うの…?」
「簡単に言えば、人を殴るか、バイクで暴れるか。
同じなのは年上とかに反抗しているのを見せ付けるところ」
分かりやすい説明で、何となく理解できた。
でも智さんの顔は晴れない。ずっと苦しそうに笑みを見せるだけだった。
「智さんはどうしてこの学校にいるの…?」
聞いちゃいけないとわかっていた。
だけど彼の瞳が何かを物語っていた。
「……俺はね」
不意に彼が窓の外を見る。窓から見えた景色は青空が広がっていて、平凡に感じる。
学校内では凄くはしゃぐ声や暴れる音が響いているのに不思議だ。
それをただ呆然と見つめたまま、智さんの言葉を待った。
「復讐をしに、だよ…」