暴走族に愛された不登校女子。
学校巡りはどんどん終わっていき、最後は音楽室だった。
「あたしね、蒼太っていう友達ともう1人。
かけがえのない友達がいたんだ。
そう、こういう音楽室でよく遊んだっけな…」
静くんは、ピアノが物凄く上手なのだ。
激しく音を奏で上げて、最後は鍵盤の上にゆっくりと指を滑らせる。
その強弱は惚れ惚れとするくらいだった。
「あれ…、この音って……」
音楽室からピアノの音がする。まさかとは思う。
「あぁ。この音ね、いつもいつも授業中だろうがずっと鳴ってるんだよ」
「まさか……静くん?」
「色んな噂はあるけど大人しくて、物好きしか近寄らないみたいだよ」
あたしの鼓動がどんどん大きく鳴っていく―…。
扉を開いて、それを現実だとは認めたくなかった。