暴走族に愛された不登校女子。




学校巡りはどんどん終わっていき、最後は音楽室だった。




「あたしね、蒼太っていう友達ともう1人。


かけがえのない友達がいたんだ。




そう、こういう音楽室でよく遊んだっけな…」





静くんは、ピアノが物凄く上手なのだ。

激しく音を奏で上げて、最後は鍵盤の上にゆっくりと指を滑らせる。





その強弱は惚れ惚れとするくらいだった。




「あれ…、この音って……」



音楽室からピアノの音がする。まさかとは思う。




「あぁ。この音ね、いつもいつも授業中だろうがずっと鳴ってるんだよ」






「まさか……静くん?」





「色んな噂はあるけど大人しくて、物好きしか近寄らないみたいだよ」




あたしの鼓動がどんどん大きく鳴っていく―…。







扉を開いて、それを現実だとは認めたくなかった。





< 73 / 304 >

この作品をシェア

pagetop