暴走族に愛された不登校女子。





「静くん……どうして…」




ピアノの音が止まり、あたしは彼の元に歩み寄った。



かつてあたしの理解者であり、蒼太と一緒に笑いあった友達。

行方が掴めないままだったけど、



ずっとずっと会いたかった―…。







「…杏。久しぶり…かな? 何でいるの……?」





優しい口調でいつも笑顔を浮かべていた。


何1つと変わっていない彼。




「それより杏、ごめん……。ずっと連絡取れなくて」



「静くん…」




彼に飛びつくと、受け止めて抱きしめてくれた。そして頭を優しく撫でられる。





「……ずっと僕は会いたかったよ」





静くんはあたしとって、ヒーローのような人だった。





そして、あたしを救ってくれた人でもあった。






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