前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
診察室へ入るとミカは笑顔で
俺らを迎えてくれた。


「ミカちゃんの両親は今海外にいるんだってね。
イケメン君と同居してるから
診察結果は彼と一緒に聞きたいって
事なので、入って貰いました。
まぁ、あそこで2人でいられると
大変だと思ったのもあるけど(笑)
さて、ミカちゃんの背中なんだけど
骨には異常は無いけど、正中線から
左上腕部にかけて強い打撲痕があった。
目で見てわかるくらいに叩かれた後が
くっきりと赤く腫れ上がってる。
5日間くらいは腕を上げるのも痛いと思うよ。
医師としては剣道の練習で竹刀を振り回すなんて最低でも1ヶ月はやめて貰いたい所なんだけど
ミカちゃんがどうしてもやりたいと言うんだよ…しかも、明日から。
それは無理な話だ。
おとなしくしてれば、二週間くらいで
痛みがだいぶおさまってきて
1ヶ月くらいたつと、痕もキレイに治ると思うんだ。
仮に明日から激痛に耐えて無理してやったとしたら、1ヶ月くらいで痕はキレイに治るけど
痛みはいつまで続くかわからないよ?
だって、凄い炎症してる。
まずは休ませて、とにかく冷やして
中の熱を取ってやらないと…
痛みっていうのはそれから少しずつ
引いてくるもんなんだ。」


「ちょっと待って…祐介…
ミカの背中今見てもいい??
俺も今礼二と会ったばかりで
何が何やら……」


「ああ、今アイシング中で
まだ固定も何もしてないから見れるよ
礼二君も見て。
これを見れば俺の言ってる事わかると思うよ?
ミカちゃん、ちょっとごめんね…
さっきみたいにこれを前にかけて
腕は上がる所まででいいから
上げてくれるかな?」


と櫻井医師は言うと


ミカの身体にタオルをかけてやると
器用に上着を1枚脱がした。


櫻井先生!!すげぇ!!
きちんと前が見えないように配慮してくれてる!!ジェントルマン!!


ガバッと脱がされて下着姿をさらされたらどうしようかと思ったわ!!


てか、よく気のつく良い先生じゃん!


ちょっと紳士すぎて、爽やかすぎて
俺の周りにはいないタイプのイケメン
だから内心焦ってたけど…


だって、3人組にせよテッタ君や
ケンゴ君にせよ、確かに全員長身で見た目が派手でイケメンだけど


紳士的な奴っていないよ(笑)


ケンゴ君やトシヤは爽やかそうではあるけど、こんな柔らかい物腰じゃねぇもん


健夫君だって、桁違いに目立つけど
こんな雰囲気じゃない。


この人独特の魅力なんだろうな…


って、櫻井先生を見直したからって
話がそれたらダメじゃん!


「ミカちゃん…大丈夫かな?
痛くなかった??氷袋を外すよ?
すぐまたつけるからね…」


「はい、大丈夫です。」


ミカの言葉を聞くと、櫻井先生は
ミカが痛くないようにゆっくりと
氷袋を固定してるバンドを外した。
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