前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
すると、櫻井先生がまた健夫君を見ると

フウっと一息ついて、フッと笑った。


そして、ミカに近付くと
ミカの手を優しく握って言った


「ミカちゃん、なんでそんなに
こだわるのかは聞かないけれど…
仮に、明日から練習をしたとして
いつそれを披露するんだい??」


「…正確にはわかりません。
でも、2週間か3週間後…
遅くても1ヶ月後には必ず必要に
なります。 …って、櫻井先生?
手、大丈夫なんですか?
私の手なんか握っちゃって……
気持ち悪くないですか……?」


ミカが不安気に答えると



「プッ(笑)顔はそっくりだけど
中身は全然違うんだ……(笑)
テンはしっかり自覚してたのに……
ミカちゃん、さっきは誤解させちゃってごめんね(笑)ぷっ(笑)
さて、ミカちゃん。
わかったよ…負けたよ。
ただし、練習は5日後からだよ?
それと、明日から毎日通うこと。
もちろん、練習再開してからもね?
今の状態だと、明日から練習しても
5日後から練習しても変わらないよ?
3日間は体を絶対に動かさないこと。
それと、ミカちゃんの主治医は俺ね。
健夫に両方持ってかれるのは嫌だ(笑)
約束出来る?
これ以上は絶対に譲らないよ?」


するとミカは
ここでまたあの必殺技の
パーーッと晴れやかな顔になって
ニッコリ笑うやつを繰り出して
感激すると


櫻井先生の手を握り返して


「ありがとうございますっ!!
はい!約束します!!
先生、本当にありがとう(笑)」


と、言ってまたあの必殺技を
繰り出した。


ミカ、その顔ね
すっごい可愛くて大好きな顔なんだけど


お願いだからやめて。


櫻井の馬鹿野郎!
そんな目でミカを見るんじゃねぇ!


そういえば、さっき
健夫君に両方とかなんとか言ってたけど
アレどういう意味??


なんか聞くの怖いんだけど…
聞きたい!!


「ねぇ、つかぬ事をお聞きしますけど…
健夫君に両方持ってかれるとかなんとか
さっき言ってたけど…どういう意味?」


「ああ、実は健夫とテンが付き合う前
テンは俺と付き合ってたんだよ?(笑)
なのに、健夫にかっさらわれた挙句に
結婚までしちゃったんだよねー
まぁ、俺はテンが幸せそうだから
それでいいんだけどねっ(笑)
俺、この顔大好きみたい。
しかも、性格はミカちゃんの方がタイプかも(笑)ということは、ミカちゃんは
俺の理想のお姫様って事!!
まだ、結婚もしてないしねー!
礼二君が恋敵かぁ…
これまた戦況としてはかなり厳しいな〜
けど、俺は強引なのは好きじゃないんだ
今は主治医と患者の関係ね(笑)」


と言って爽やかに微笑んだ。


ウゲェーっ!!!!
マジでぇ!!!!!


聞かなきゃ良かった!!


こんな奴のとこに毎日通うのかよ!


ミカの事好きって言ってるような
もんじゃん!


しかも当の本人は全くもって
気がついてないしっ!!


それなのになんで櫻井はあんなに
嬉しそうなんだ??


「ぷっ(笑)礼二君キミって
面白いね!思った事全部顔にでてるよ?
俺なんかよりも遥かにイイ男なんだから
もっと堂々としててよ(笑)
俺は他人のモノを取る趣味はないよ?
でも、別れたら…
すぐに取りにいくけどね(笑)
あと、泣かせても黙ってないよ?
わかった?」


てか、先生こわい!!


いい人だし、カッコイイし、大人だし
紳士だし!!


過去最高に怖い!!


手を出さないでくれるのは
ありがたいけど…


って!俺まで先生のワールドに
引き込まれるところだった!


ミカとは絶対に別れないし!
絶対に泣かすもんか!


ミカは俺のお姫様ですから…
俺だけのね(笑)

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