前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
ジロジロ見られてる原因は


あの子のおかげでわかった。


11月に入った途端
所々クリスマスイルミネーションも
始まっている。


そんな中で
私達の写真が広告という広告欄
をほぼ埋め尽くしていた。


大通りを走るバスも
駅の外の大きな広告欄やビルや商業施設のこれまた大きな広告欄にも
その写真が大きく飾られていた…


「ミカ…スゲぇな……
これはさすがに(笑)」


さすがのレイジも呆気に取られている


「う うん…」


思わず、どちらからともなく手を繋いだ私たち。


「まぁ、見せ物になるって事は
こういう事だ…ミカちゃん、気分は?」


「うん。なんというか、あんまり実感はないんだけど……
レイジとならいっかな(笑)」


「偶然(笑)
今俺もそう思ってた(笑)
ミカとなら見せ物も悪くないかな?と
思った(笑)」


といたずらっ子のように笑うレイジ。


つられて私も笑う


もう開き直るしかないからね(笑)


「ミカ、こんだけあっちこっちに
写真貼り付けられちゃったら…
俺ら変装した方がいいかな?(笑)」


とふざけた口調で言うレイジ


「変装なんて、余計不自然だよ(笑)
それに、レイジはモデルうんぬん前に
すっごく目立つからね?(笑)
変装したら余計に目立つよ(笑)
きっと(笑)」


「なんなら鼻眼鏡でもかけて
ようか?(笑)
まぁ、でも一応俺からあまり離れるなよ!大学内はまぁアイリちゃん達もいるし
安全だろうけど…
少し騒ぎが落ち着くまでは、1人で外出は控えろよ!夕飯の買い物とかも(笑)」


「う うん、わかったよ(笑)
鼻眼鏡って…(笑)」



「それにしてもハデにやったよな〜
賢太郎さん」


「私もそう思った!!凄いよねっ!!
昨日まで全くなんにもなかったのに
11月入った途端これだもんねー!
これは絶対店舗も
見に行かないとだよね!
どんなふうに使われてるか気が気でなくなってきたよ(笑)」



と話し込んでいるとあっと言う間に
大学の私の教室の前だった。


「だな、じゃあ
授業終わったらまた迎えに行くよ!」


と言うとまたいつもの頭ポンポンで

周りの女の子を悩殺し

私も悩殺され(笑)


レイジは元来た道を戻って行った


教室に入るとアイリやテッタくんや中谷くんの他にもいろいろ質問攻めにあったけど


このクラスの人たちは
私とレイジの関係をほぼ全員知っている
と思われるので


意外や意外、みんなから凄く応援された


私は写真が使われる経緯を手短にみんなに話したんだけど


今や、私にお酒を飲ませた人まで英雄呼ばわりされていた(笑)


レイジが聞いたら、怒るよきっと(笑)


でも、こんな私でも好きな人といれば
少しは輝けるのかもねっ。


スタイルは決して良くは無いけど
身体が大きくてひょろ長な私は
小さい頃からスタイルが良く見られる事が多い。


思春期に入った頃はみんなより大きいのが恥ずかしい時期もあって
デカイ事を長所と思った事は無く
短所でしかないと思ってたけど
モデルのお仕事は短所を長所に変えてくれる魔法のお仕事かもしれない。


クラスの友達にそう言われて
なるほど!と思った。


断る前提で撮影に挑むのはやめよう。
一生懸命やってみて
やれるかやれないか判断しよう。


もしかしたら、撮影の時に
やっぱアナタには無理と言われるかもしれないけどね(笑)
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