いちご
止めろ!



そう思い、苺は人間に飛び掛かりました。



しかし人間には適わない。そのまま跳ね返され、苺は意識が遠退くのを感じます。



「苺さん!!」




女の子は苺のもとに駆け寄ります。そして傷ついた苺を手の平に乗せて、キスをしました。


「苺さん、苺さん。私は苺さんが大好きです。」



女の子は泣きながら、何度も苺にキスをしました。



苺は体があったかくなるのが分かりました。



「苺さん!体が真っ赤になってきてる!」



自分でも、驚きました。

でも、とても満たされた気分です。
なんだか、声も出せそうな気がしました。

「変、ですか…?」



苺は女の子に聞きました。

女の子は苺が声を出したので、とても驚き、そして、喜びました。


「とても素敵よ、苺さん!赤い体は魅力的で、とても苺さんらしい。」



女の子はまた、苺にキスをしました。


苺は幸せでした。

そして自分がもうすぐ死んでしまう事を悟りました。



「僕も君が大好きです。今度生まれて来るときは、人間に生まれたい。」



女の子は、首を横に振りました。


「貴方はまた、苺に生まれて?私が苺に生まれ変わるから。そして二人で並んで、お喋りして、恋をして、体を真っ赤に染めましょう?」



その言葉を聞きながら、苺は目を閉じ、眠りました。



女の子は、手の平に乗った苺を見つめながら、呟きました。


「恋はとても甘酸っぱい。苺さんも、きっと甘酸っぱくなってる。」


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