唯一の純愛
妻の事を知ってもらう前に、先ずは私の事を話したいと思います。

妻と出逢う前の私は、お世辞にも品行方正とは言えない男でした。

他人を信用せず、利用することばかり考えていました。
損得のみで付き合う相手を選び、必要以上の関わりを避けていました。

自分の利益のためなら平気で嘘をつき、他人が困っていても見て見ぬ振り。
そんな人間でした。

人間誰しも、大なり小なりそんな一面を持っているとは思います。
私の場合は、それが人より顕著で、それを隠そうとしていなかった。
ただそれだけだと思っています。

寂しい人間だ
そう言われた事もあります。

しかし、それが私の処世術であり、事実それで不自由なく生きて来られました。

社会的にも一定の評価を得ていましたし、一生この生き方のままで良いとさえ思ってました。

じゃぁ今は違うのか。
恐らく今も、根本的な部分は変わらないと思います。

今でも他人との間に、どこか一線を引いて、深い関わりを避けていると思います。

それが大人の距離感だ。
妻にはいつもそう言っていました。

でも妻は知っていたのかも知れません。

いえ、きっと知っていたのでしょう。

それがただの言い訳なのだと。
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