不思議な6人組
そういえば、頼んでないけれども誠が送迎係になったんだっけ。
ということは、私が返らないと帰れないってことだ。

 「そうだね。あんまり遅くなると奈桜ちゃんのご家族の人も心配するだろうし。今日はもう、帰っていいよ。懈怠だけちゃんと持っていてね」
龍哉が柔らかく微笑むから連にお礼を言うタイミングを逃してしまった。
これをくれた彼も、何かの書類に目を通しているし、話しかけれる雰囲気じゃないことは確かだ。
結局お礼を言えずじまい。

 「・・・帰るわ」
諦めて、部屋を後にした。
陽と龍哉の温かい声に見送られながら。
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