よくばりな恋


「昨日、翠ちゃんと話せた?」

「・・・・・いや。気が付いたら翠が消えてた」

「・・・・・おまえが憔悴してるの珍しいな。紗英に写メろうかな」

「アホか」



そのとき、悲鳴が聞こえた。


「翠ちゃん!!」
誰かが翠の名前を呼ぶ。


健太郎と顔を見合わせる。


次の瞬間には駆け出していた。


翠がいつもいる栄養科の部屋まで行くと、警備員に取り押さえられた男が暴れている。

「あの女が悪いんだっっっ!!離せっ!」

「・・・・・滝川さん?」
隣で健太郎が呟く。

「誰かっ!ストレッチャーもってきて!」

弾かれたように部屋に飛び込む。

「翠ちゃん!翠ちゃん!」
翠の先輩栄養士が 必死で呼びかけている。


「翠っ!!!」

倒れている足が見えた。

嘘だ 冗談だろう・・・・・?


翠が床に倒れている。

左手が真っ赤に染まって、唇の端からも血が流れている。


「翠ーーーーーーーーーっっ!」

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