よくばりな恋
温かい手が頬に添えられ、親指が目の下をなぞる。
「おまえ、なんで泣いてんの?」
「せんせ・・・・・なんで・・・・・?」
「健太郎におまえが熱出したって聞いて、家に様子見に行く途中でおまえおぶった空を見つけた。空の背中で寝てたのをオレの車に乗せてまた拉致だ」
よく見ればわたしがこの間整えたベッドに寝かされている。
「ごっ、ごめんなさい!すぐ帰ります」
かけられた布団を焦ってはねのけ、ベッドから降りようと身体を起こした。寝てて移動に気付かないなんて有り得なくて、恥ずかしくて先生をマトモに見ることも出来ない。
「アホかっ!」
怒鳴られて思わず肩が竦む。