アロマティック
「ね、ね、見てよ! ラブラブ、ラブラブ!!」

 後ろにリーダー、天音、朝陽を引き連れての再登場。みのりに膝枕をさせている永遠を見て、3人が固まる。

「……永遠」

 永遠とみのりの親密ぶりが想定外だったのか、目をぱちくりさせる天音。

「マジだ……」

 聖のいったこと、そのままを目の当たりにして、唖然としたリーダーが呟く。

「………」

 無言でひたすらガン見の朝陽。朝陽がどれだけ険しい表情をしていても、いまはそれが嫌悪感から来るものではないことをわかっている。
 それでもみのりは、部屋の中の空気が薄くなったように、息苦しくなった。
 空、天音、聖、朝陽の視線がふたりに集中し、さっき、永遠が「眠れなくなった」といった気持ちがわかる気がした。

「あの、ね。ラブラブとかそんなんじゃないから」

 なんでわたしが弁解しなきゃいけないの。
 これではまるで、身の潔白を証明出来ずに懸命に弁明してる被疑者みたい。

「でも、永遠は否定してないみたいだけど」

 えっ!?
 天音の視線の先、みのりは自分の足元を見た。するとそこには、片手を上げ満足げな表情の永遠の姿。
 なんで否定しないの!? みのりには永遠の考えていることがわからなかった。

「永遠くん!? そんな顔するから皆が混乱するんじゃない! 紛らわしい!!」
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