アロマティック
 中身はまるい……おまんじゅう?
 丸いけど、柄のようなものは様々だ。白をベースに茶や黒のぶち模様のようなものがあったり、ベージュのもの、グレーに縦の黒いラインが入ったもの……。
 空はこれがなんなのか、気づいてほしそうに息を潜めて次の言葉を待っている。
 こんな生き物、どこかで見たことがある。
 まるっとしてて、ヒマワリが好きで、顔の形が変形するくらいほほ袋に食べ物詰めて、寝るときになると丸くなって、ちょうどこんな感じになる……。

「あっこれ、ハムスター!?」

「そうっ! 正解っ」

 指をパチンと鳴らして空は嬉しそうに笑う。

「かわいいっハムスターが丸まってるみたい。これ、食べていいの?」

 手のひらに乗せると、サイズもちょうど手のひらに収まる大きさで、本当のハムスターが上に乗っているみたいだった。

「食べて食べて」

「なんだか食べるのがもったいない気がするけど、いただきますっ」

 一口かじるとしっとりした外側の皮に、甘すぎないつぶあんの味が口のなかにふわっと優しく広がった。

「んーっ、美味しいっ」

「中のつぶあん、砂糖の代わりに和三盆を混ぜて、上品な味にしてみたんだ」

「これ、いくらでも食べれそうな味! って待って。上品な味にしてみた? そういえばさっきも差し入れ作ってきたって……もしかしてこれ、リーダーの手作りなの!?」
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