アロマティック
 鋭い突っ込みに素知らぬフリをする面々。永遠が話しを続ける。

「いや、正直なんで来てるのかわかるけど、さっきも空のおかげで凌を追い払えたわけだから。助かるけども、3人もいらなくね?」

「気づいたら集まっちゃったっていうパターン」

 天音が舌を出して笑う。

「なるほど。で、ナイトがこれだけいて、当の姫君は?」

「お洒落にいうと化粧室」

「確かにお洒落ないいかた。お、ハーブティー」

 みのりが席を外していることにがっかりしつつも、彼女が作って置いておいてくれたハーブティーに喜ぶ。ティーコジーのかかっていたポットを見つけた永遠は、一緒に並んでいた紙コップに入れて喉の乾きを潤した。


 一方、朝陽に勧められた口紅を持って化粧室へ向かったみのりは。
 静かな化粧室の鏡に映る自分をじっと見ていた。
 乗せられるままに、口紅を塗ってしまった。
 朝陽がくれた口紅を試した唇は、ぷるんとみずみずしくて、キラキラのグロスがふっくら魅力的に見せている。
 普段は控え目なベージュ系を使っているみのりは、ピンクに染まった唇だけを見ていると、まるで他人の唇のように感じられた。
 見慣れないせいか、似合っているのか自分ではわからない。
 これを見た皆はどんな反応を示すのだろう?
< 202 / 318 >

この作品をシェア

pagetop