アロマティック
いつもと違う自分に、ちょっと気持ちが変わったのか、ワクワクしてきた。
異性とはなるべく関わることを避けてきたし、目立たないようにお化粧も最低限のことしかしなかったけど、これを機に、もう少し自分を磨く努力をした方がいいのかな。
改めて自分の唇に視線を移した。
キスしたくなる唇。
キスしても落ちない口紅。
まつげを下げ、近づく永遠の唇。
「ああっもう!」
またもや永遠とキスしているところを妄想して、慌てて首を振る。
そんな展開になるわけない。
いつもよりちょっと雰囲気の違う唇になっただけ。
よし、あのわちゃわちゃグループに弄られても動じないわよ!
こぶしを握りしめ、大きく深呼吸をして覚悟を決める。気合いを入れたみのりは、化粧室をあとにした。
「みのり」
その声は化粧室を出てすぐ、背中にかかった。つかの間その声に心臓を鷲掴みにされた気持ちに陥る。
油断した。
この声は、凌だ。
まさか、こんなところで鉢合わせることになるなんて。
強くまぶたを閉じ心を落ち着かせるために、ゆっくり息を吐いた。対峙する覚悟を決め、沈黙のまま呼びかけられた方向へ体ごと向き直る。
「………」
「みのり、もう一度ちゃんと話しがしたいんだ」
そういって両手を広げ、整った顔を苦し気に歪める姿からは、必死な思いが伝わってくるが。
異性とはなるべく関わることを避けてきたし、目立たないようにお化粧も最低限のことしかしなかったけど、これを機に、もう少し自分を磨く努力をした方がいいのかな。
改めて自分の唇に視線を移した。
キスしたくなる唇。
キスしても落ちない口紅。
まつげを下げ、近づく永遠の唇。
「ああっもう!」
またもや永遠とキスしているところを妄想して、慌てて首を振る。
そんな展開になるわけない。
いつもよりちょっと雰囲気の違う唇になっただけ。
よし、あのわちゃわちゃグループに弄られても動じないわよ!
こぶしを握りしめ、大きく深呼吸をして覚悟を決める。気合いを入れたみのりは、化粧室をあとにした。
「みのり」
その声は化粧室を出てすぐ、背中にかかった。つかの間その声に心臓を鷲掴みにされた気持ちに陥る。
油断した。
この声は、凌だ。
まさか、こんなところで鉢合わせることになるなんて。
強くまぶたを閉じ心を落ち着かせるために、ゆっくり息を吐いた。対峙する覚悟を決め、沈黙のまま呼びかけられた方向へ体ごと向き直る。
「………」
「みのり、もう一度ちゃんと話しがしたいんだ」
そういって両手を広げ、整った顔を苦し気に歪める姿からは、必死な思いが伝わってくるが。