アロマティック
「あれ!? 皆いる」

「やっぱり来たよ」

「やっぱりってなんだよ!」

 天音が迷惑そうに呟き、聖が突っ込む。休憩所に戻ると熱烈な歓迎を受け、早速弄られている。

「迷った!? それでみのりちゃんと合流したの?」

「場所がいまいちわかんなかったんだって」

「そんなのいいわけじゃん。それでみのりちゃんと会えちゃうんだからさすがですね」

 ニヤニヤ笑う天音に、お前がいうと嫌味にしか聞こえないんだよ! と、聖が冗談半分本気半分で食ってかかり、空がまた楽しそうに仲裁にはいる。わちゃわちゃしているのを、クールな朝陽がこれまた楽しそうに見守っていた。
 メンバー皆が盛り上がっているなかに、永遠はいない。
 まだ休憩に入ってないのかな。みのりは永遠を探す。
 永遠は台本を手に、監督や他の役者さんと頭を合わせて熱心に話し合っていた。それを見るみのりの寂しげな横顔に、朝陽が気づいた。

「永遠、短い休憩入って、さっきまでここにいたよ」

「そう、だったんだ」

 みのりは残念だとうつ向く。
 不可能だとわかっていながらも、いまは一緒にいてほしかった。
 凌なんか気にするなと抱きしめて、安心させてほしかった。

 今までどんな問題に当たっても、ひとりでなんとかしてきたつもりなのに。
 今のわたしは、永遠くんがいないとダメなの……?
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