アロマティック
みのりは椅子に座り込んだまま、自分の気持ちの変化に唖然とした。
朝陽は、そんなみのりをずっと見ていた。
聖と共に戻ってきてから、少しも笑わないみのりを。
気丈な彼女が元気をなくしているのは、火を見るより明らかだ。
口紅を塗るとトイレに向かってなにがあった?
聖だけではフォローしきれないとなると、凌か。
「なにがあった?」
みのりが顔をあげると、心のうちまで見透かすような鋭い眼差しとぶつかった。朝陽のただならぬ様子に、皆の視線が集まる。
だめ。
これ以上、皆に心配をかけちゃいけない。
焦ったみのりはとっさに唇を指さして、笑顔を作った。
「なにって、朝陽くんがくれた口紅塗ってきたんだよ」
朝陽は偽物の笑顔だと思った。
「似合うかな?」
必死に話しをはぐらかそうと、少し唇を突きだしてみせるみのりの顔に視線が集まる。
「イイ!」
改めてみのりの唇を見た聖が興奮する。
「女の子らしくていいね」
にこっと天使の微笑みを浮かべた天音が褒めてくれる。
「似合ってる似合ってる」
空が少し照れたように微笑えむ。
朝陽は感想を待つみのりを、もどかしげに見つめた。
朝陽は、そんなみのりをずっと見ていた。
聖と共に戻ってきてから、少しも笑わないみのりを。
気丈な彼女が元気をなくしているのは、火を見るより明らかだ。
口紅を塗るとトイレに向かってなにがあった?
聖だけではフォローしきれないとなると、凌か。
「なにがあった?」
みのりが顔をあげると、心のうちまで見透かすような鋭い眼差しとぶつかった。朝陽のただならぬ様子に、皆の視線が集まる。
だめ。
これ以上、皆に心配をかけちゃいけない。
焦ったみのりはとっさに唇を指さして、笑顔を作った。
「なにって、朝陽くんがくれた口紅塗ってきたんだよ」
朝陽は偽物の笑顔だと思った。
「似合うかな?」
必死に話しをはぐらかそうと、少し唇を突きだしてみせるみのりの顔に視線が集まる。
「イイ!」
改めてみのりの唇を見た聖が興奮する。
「女の子らしくていいね」
にこっと天使の微笑みを浮かべた天音が褒めてくれる。
「似合ってる似合ってる」
空が少し照れたように微笑えむ。
朝陽は感想を待つみのりを、もどかしげに見つめた。