アロマティック
「興奮しちゃったんじゃね?」

「永遠ちゃんだめだよ」

「周りの目があるからね」

「ね」

「おっお前らー!」

 弄られる永遠、叫ぶ。
 皆が楽しそうで、見ているみのりにも自然と笑みが浮かぶ。遠巻きに見ているドラマのスタッフの人たちにもそれは感染して、皆、笑顔になる。
 単独の仕事をしている永遠の仕事現場に集まるEarthのメンバー。
 凌が接触してくるとき、必ずメンバーの誰かがいてくれた。
 偶然を装ってはいるけど、偶然ではないような気がする。
 誰もなにもいわないけど、わたしを心配して来てくれたの?
 彼らはそういう優しさを持ったひとたちだ。
 わちゃわちゃとはしゃぐ5人を見ていると、胸が温かい気持ちでいっぱいになる。

 このひとたちったら!

 そこへ、スタッフの申し訳なさそうな声がかかる。

「永遠さん、次のシーンの準備お願いします」

「あ、はい! くっそ、みのりとろくに話せなかった」

 小さく口のなかでぼやく。

「じゃあ、いってくる」

「いってらっしゃい」

 みのりと目を合わせて行きかける永遠の背中に、天音から声がかかる。

「永遠」

「おー?」

「あとで、みのりちゃんと観覧車に乗ったげてね」

「かっ観覧車!?」
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