アロマティック
永遠はみのりを下ろした車のなかで、自宅に向かっているところだった。
助手席のバックシートに座ってスマホを弄り、仕事中に来ていた未読のメールを読みながら、頭では違うことを考えていた。
ドラマの現場はいろんな人と会うことが出来る、出会いの場だと思っている。以前、共演した知人との再会、新しい出会い。共演をきっかけに交流が始まったり、関係性が枝分かれして広がっていくのが楽しい。
だが、こんなに楽しいドラマの現場は初めてだった。楽しいと同時に、ひとりの存在がこんなに気になるのも初めてだった。
半ば強引にアドバイザーにしてしまったが、結果に満足している。最初は嫌々だったみのりも、いまでは後悔はしていない様子だったし、アロマティックのスタッフとして協力することもあるが、そんなときは進んで協力するみのりの姿勢が、永遠を誇らしい気持ちにさせた。
スマホを持つ手がバイブレーションに震える。
電話だ。
着信相手の名前を見て、眉をひそめる。
急用があるとき以外は、迷惑にならないようにメールを送るといっていた人物からだ。
何か起きたのだ。
永遠はすぐ電話に出た。
「もしもし、理花ちゃん?」
「永遠くん! みのりちゃんが、みのりちゃんが……!」
受話口から届くひび割れた理花の叫ぶような大きな声。その様子からも取り乱しているのがわかる。
助手席のバックシートに座ってスマホを弄り、仕事中に来ていた未読のメールを読みながら、頭では違うことを考えていた。
ドラマの現場はいろんな人と会うことが出来る、出会いの場だと思っている。以前、共演した知人との再会、新しい出会い。共演をきっかけに交流が始まったり、関係性が枝分かれして広がっていくのが楽しい。
だが、こんなに楽しいドラマの現場は初めてだった。楽しいと同時に、ひとりの存在がこんなに気になるのも初めてだった。
半ば強引にアドバイザーにしてしまったが、結果に満足している。最初は嫌々だったみのりも、いまでは後悔はしていない様子だったし、アロマティックのスタッフとして協力することもあるが、そんなときは進んで協力するみのりの姿勢が、永遠を誇らしい気持ちにさせた。
スマホを持つ手がバイブレーションに震える。
電話だ。
着信相手の名前を見て、眉をひそめる。
急用があるとき以外は、迷惑にならないようにメールを送るといっていた人物からだ。
何か起きたのだ。
永遠はすぐ電話に出た。
「もしもし、理花ちゃん?」
「永遠くん! みのりちゃんが、みのりちゃんが……!」
受話口から届くひび割れた理花の叫ぶような大きな声。その様子からも取り乱しているのがわかる。