アロマティック
 行くなと、止めてしまう。俺のそばにいろと、自分勝手なことをいってしまう。
 ずっと一緒にいてほしい。
 みのりに会ったら、抱きしめて離せなくなる。

 こんな気持ちになるほど、俺はみのりを愛している―――。

 己の考えにハッとした。
 愛している?
 今まで抱いたことない感情が、永遠の心に浸透していく。
 俺は、みのりを愛している。

「いや、違う。俺のためでもあるんだ。アイツを困らせたくない」

 気持ちのやり場に困った永遠は、うつ向き、垂れてきた前髪をくしゃりと握りしめる。その表情が苦しみに歪む。

「永遠くん……」

 永遠は永遠で苦しんでいる。
 理花はなんと声をかけていいのか迷った。

「おふたりさん、話しは終わったー?」

 その声に振り向くと、突然、ドアからひょっこり聖が顔を出した。

「ね、お腹空かない? なにか食べに行きませんか」

 天音が聖の横を通り過ぎて、理花のもとへいくとにっこりと天使の微笑みで手を取り、笑いかけた。

「え? あの?」

 戸惑う理花を、天音が引っぱる。

「永遠も食事に行こう」

 空が永遠にほんわり微笑む。

「ついでに明日、みのりちゃんを空港でどう見送るか、話し合おうぜ」

 朝陽が肩を叩き、理花と永遠は半ば強引に連れていかれた。
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