アロマティック
 それにしても今日のみのりちゃんは、いつも以上に機嫌が悪そうだ。普段よりキレがいいというか。
 2日目?
 理花は心の中で首を傾げた。

「まだここら辺にいるのかなぁ? もし会えたら……やだ、すごい奇跡っ」

 妄想モードに突入した理花は、早速そんな場面を思い浮かべているのだろう。フフフと幸せそうに笑っている。
 そんな理花を見て、みのりはふと思った。
 以前のわたしなら、同じように騒いで笑いあっていたのだろうか?
 恋や憧れに真っ直ぐで、女の子同士相談しあったり、時には涙したり。
 思うまま純粋に笑う理花が可愛くて、みのりの口元もゆるむ。

 理花は幼稚園の頃からの幼馴染みだ。どんなときもみのりの味方になって支えてくれた、かけがえのない存在。
 今こうして生きていられるのも、だめになりそうだった自分に理花がいてくれたから。
 能天気で、無邪気な彼女だけれど、そういうところに救われた。
 理花は唯一の家族といえるくらい、大事なひとだ。

「つぎの仕事はどうするの?」

 なんだかんだ心配してくれる理花の声に、我に返る。

「うん、じつはアロマテラピー関係の職探してるとこ」

「春に資格取ったんだっけ?」
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