アロマティック
 変なところで言葉切らないでよ。そんなどっきりいらない。心臓に悪い。

「ふぅん。アロマ、アドバイザー……ね」

 な、なに?
 天音の心の奥まで見透かすような瞳に、みのりは戸惑い、一歩後退する。

「なるほど。理花ちゃんとこそこそしていた意味がやっとわかりましたよ」

「問題あるか?」

 みのりから視線を外すことなく呟いた天音に、永遠の静かな声が問う。問いかけながらも、その声には反論を許さない雰囲気があった。

「いえ。永遠をよろしくお願いします、みのりちゃん」

 天音が母性本能をくすぐる人懐っこい笑顔で手を差し出してきた。キラキラ輝くこの笑顔には相手の心のガードを緩め、するっと懐に入ってくる強力な力がある。油断すると天音に手玉にとられてしまうだろう。この男は超危険人物だ。

「はぁ……どうも。よろしく」

 1日に男の手を2回も握ることになるなんて。断るわけにもいかず、握手を交わし、違和感を感じた。瞼を下げた天音の瞳が冷たく光った気がしたのだ。氷のように冷たい表情。でも、まばたきした次の瞬間には、あの人懐っこい笑顔が戻っていた。
 見間違い、だったのだろうか? みのりは首をかしげた。

「俺、メイクだからそのへんに適当に座ってて」

「メイク!? メイクなんてするの!?」

 お、男が化粧!?
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