百合の花
瑠璃の嫌がる姿と戸惑う姿も大変可愛いから、見ていたいと切に思うが、他人がつくったそれなら別問題。
「終了」
「やーんっ」
無理矢理瑠璃を引き剥がして、俺の腕の中に納める。
ちっちゃい体躯がそっと納まるのは、なんだか猫を連想した。
なんとなく頭を撫でる。
またそのきれいな目をつむった。
胸が擽られるような快感に、思わず笑みが零れた。
「ほーんと瑠璃ちゃん好きだよねぇ。いや、私もだあい好きだけどさ」
「はい、熱は?」
無視して診察を続行。
「……まだないみたい」
瑠璃が今さっき危険にあった相手のおでこをぺたりと触って、小さく報告してくる。
「やだ…なんなのこの子可愛すぎる…」
案の定、恍惚とした目で瑠璃に癒され始めた弥生に、びくりと怯えてそそくさと俺の背へ。
「瑠璃、体温計の存在忘れてない?」
「あ…」
体温計で計ればいいのに、なんであんな萌え仕草をするんだ。
弥生が悶えてるじゃないか。