百合の花
呆然と弥生が俺を見てくる。
「歌月…すごい…私も気がつかなかったこと気がつくなんて。
だって、私薬が効いた時の変化でさえわからないんだもん」
薬を使うと目の色が本の少しだけ濃くなる。
そんなのは常識だが、それを変化前と前回の変化後で比較したのを見極めるのは難しい。
特に、みんな青い瞳だから。
まあ青い瞳にも差はあって。
瑠璃は夜空を切り取ったような紺で、光によっては紫色にも見える色。
反対に伊織は水みたいに透明な青で、ガラス玉みたいな水色だ。
こいつは青空のような青。
鮮やかで眩しい、華やかな色。
「…それはお前がバカだからだな」
「なっ…ひど!成績だけはよかったんだから!」
「よく言うよ」
「あー!信じてないな!瑠璃ちゃんに当たっちゃうぞ!むぎゅーっ」
脈絡ないだろ、と思いつつ。
弥生に視線を向けると、瑠璃がまた背後から抱き締められていた。
大きい弥生が抱き締めると、なんだか食べられる前に捕まったみたいに見える
「…ひゃあっ」
耳に息を吹きかけられ、耳だけ真っ赤になってじたばたする
「ぐはははは、瑠璃ちゃんは私のもんだあっ!つかエロ!瑠璃ちゃんエロ!そして猫瑠璃ちゃん可愛すぎる…」
たまらんっと抱き締める力を強くする。