こうべ物語





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



新長田駅の改札口。



「帰れるか?」



「うん。」



落ち着きを取り戻した涼子が微笑む。



「帰る前に…、もう1つ、聞いてもいいかな?」



「何でも聞いてくれ。」



「傘の中で一緒に指輪を眺めていた女性、他の高校の制服着てたけど…。」



そこまで尋ねると、誠也は携帯電話を取り出し、突然、電話をかけ始めた。



「ああ、部活帰りか。悪い。」



誰かと繋がり話をしている。



「実は、涼子への誕生日プレゼントを買いに着いて来てくれただろ?その時、涼子が目撃したらしくて、俺達の事怪しんでるんだ。無実を証明してくれ。」



「えっ?」



誠也が差し出した携帯電話を見つめながら呆気にとられる。



「電話で話してみろよ。俺の無実が証明されるから。」



恐る恐る受け取ると、耳に近づける。


< 178 / 202 >

この作品をシェア

pagetop