こうべ物語
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新長田駅の改札口。
「帰れるか?」
「うん。」
落ち着きを取り戻した涼子が微笑む。
「帰る前に…、もう1つ、聞いてもいいかな?」
「何でも聞いてくれ。」
「傘の中で一緒に指輪を眺めていた女性、他の高校の制服着てたけど…。」
そこまで尋ねると、誠也は携帯電話を取り出し、突然、電話をかけ始めた。
「ああ、部活帰りか。悪い。」
誰かと繋がり話をしている。
「実は、涼子への誕生日プレゼントを買いに着いて来てくれただろ?その時、涼子が目撃したらしくて、俺達の事怪しんでるんだ。無実を証明してくれ。」
「えっ?」
誠也が差し出した携帯電話を見つめながら呆気にとられる。
「電話で話してみろよ。俺の無実が証明されるから。」
恐る恐る受け取ると、耳に近づける。