こうべ物語



家から徒歩3分ほどで到着するいつもの公園。


照明灯が照らす広いグラウンドの真ん中で、いつものように勝利は父親に見守られながら素振りを繰り返していた。


陰に隠れて、その様子を暫く見つめる。



「よし、いいぞ。」



勝利の父親の声が響く。


まだまだ蒸し暑いグランド。


自然と汗が落ちてくる。



(野球の練習している勝利の姿が一番好き。)



高鳴る鼓動。



(いつまでも、遠くから見ているだけじゃ駄目だよね。)



両手に一度力を入れる。



(私も心を広く持って、勝利を送り出さないと。)



勢いをつけて、木陰からグラウンドへ出て行った。


< 79 / 202 >

この作品をシェア

pagetop