I grumble to Christmas
「今日は、どこも混んでるんだろうなぁ」
「だろうね」
てか、そんな心配する必要ある?
どうせ、可愛い彼女のために、素敵なレストランの一つや二つや三つや四つ。
予約してるんでしょ?
私は寒さに体を縮こませながら、何言ってんだ、こいつ。的な目を中谷君へ向けた。
「帰りにどっかで飲んで帰りたかったけど。この分じゃ無理かもなぁ」
通りに面したお店はどこも大変な賑わいで、オヤジたちが集うような居酒屋でさえ大盛況。
クリスマスがなんだ! 的な人でさえ、この雰囲気を逆手にとって楽しんでいる。
てか、飲んで帰ってるヒマなんて、無いでしょうが。
「彼女、待ってるんじゃないの?」
心の声が思わず口から飛び出した。
「え? 彼女なんて、いないよ」
はぁ~っ?!
何言っちゃってんのよ。
私、知ってるんだから。
てか、見たし。
確か、夏頃だったかな。
私にもまだ彼がいた時よ。
まさか、こんな一大イベントの前に別れるなんて、思いもしなかったわ。
て、私の事はどうでもいいのよ。
中谷君よ、中谷君。
休日の昼間、街を歩いていたときに私見たもの。
可愛らしい彼女と、恋人繋ぎしながらラブラブで歩いていたじゃない。
あれだけお互いの指を絡ませておきながら、彼女じゃないなんて言うなら、中谷君。
君は、れっきとした詐欺師だよ。
間違いない。