沖田総司と運命の駄犬




次の日、帰ると、梓が、また、部屋に居なかった。




沖田「まただ・・・。」




僕は、溜め息を吐いて、土方さんの部屋に行った。



沖田「失礼しますよ・・・って、居ない・・・。」




どこ行ったんだ?




僕は、梓と土方さんを屯所中を探し回る。




沖田「居ない・・・。どこかに出かけた?」




ちょうど、近藤先生の部屋の前に来たとき、近藤先生と土方さんの話し声が聞こえた。



なんだ土方さんと梓は別か・・・。





その事にホッとしたのも束の間・・・。





更なる疑問が、湧き出てきた。





“じゃあ、梓は、どこにいるんだ?”






まさか、また、脱走?





すると、話が終わった土方さんが、部屋から出てきた。





土方「っ!何だよ!こんな所に、突っ立って。邪魔だ!」






沖田「土方さんっ!梓は?部屋に居なかったんです!」





土方「ん?あぁ・・・。梓は、山崎の所だ。」




沖田「山崎さん?」




土方「あぁ。昨日の夜に、間違えて、酒を飲んで、ぶっ倒れた。」




沖田「倒れた!?」



僕の焦りがわかったのか、土方さんは、フッと笑う。




土方「ただ、目を回しただけだ。」




なんだ。




でも、何で、梓は、土方さんと酒を呑む事になったんだろう?




すると、土方さんは、思い出したように言った。




土方「総司。お前、梓に、男の部屋には、行くなと言ったらしいじゃねぇか。」




僕は、眉を寄せて答える。



沖田「そうですけど・・・。」




そう言うって事は、部屋に誘ったって事だよね?




まさか、また、梓のやつ、ついて行った?




すると、土方さんは、フッと笑いながら言う。




土方「部屋に誘ったら断られた。」





はぁ・・・。ちゃんと、断ったんだ。





僕の安堵した顔を見て、土方さんは、ニヤリとした。






土方「だから、縁側で呑もうと誘ったら付いて来たがな。」





沖田「なっ!」




バカ梓!





僕が、眉間を寄せたのを見ると、土方さんは、ポンと、僕の肩に手を置いた。






土方「今度からは、“男にはどこであっても、ついて行くな”と教えておけよ?」






沖田「わかってますよ。」





僕は、深い溜め息をついた。






土方「おまえも来い。このまま幹部会議だ。」





僕は、土方さんついて行った。
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