沖田総司と運命の駄犬


そして、その夜・・・。




お仕置きの後、沖田先輩は、土方さんの所に行ってしまった。




そのあと、沖田先輩は、私を無視している。




梓「はぁ・・・。」




私が、部屋に戻ると、沖田先輩は、座って、考え事をしているようだった。




梓「沖田先輩・・・。今日は、すみませんでした。」




沖田先輩は、チラリと私を見て、溜め息をついた。




沖田「ねぇ。土方さんとさぁ、何してたの?」




梓「え?」




沖田「梓が、後ろから抱きしめて接吻しようとしてたよね?」





梓「違っ!」




私は、肩を揉んでいたことなどを話した。





沖田「ふーん。まぁ、あの人の色気は、凄いらしいから気を付けなよ?おなごに凄くモテるし。」




梓「はい。」




沖田「梓ってさぁ、好いてる人とかいるの?」




梓「え?」




いきなり振られて、バクバクと心臓が鳴る。




沖田「昨日の厭らしい声は、誰を想って出してたの?」




梓「いやっ!それはですね・・・。その・・・。」





沖田「土方さんの事を想ってたの?」




梓「違いますっ!」




沖田「じゃあ、誰を想ってたの?」




ダメだ。




この尋問から逃げれない。





私は心に決めた。




もう一度、告白しよう。





沖田「ん?誰?」




私は、手にギュッと力を入れた。




梓「お、沖田先輩ですっ!」




沖田「なんで僕?」




梓「そ、それは・・・。す、好きだから・・・っ。」




沖田「本当に?」




梓「はい!沖田先輩の事、す、す、好きです!」





沖田「もう一度、言って?どもらずに!」




梓「沖田先輩が好きです!」




そう言いきった私を、沖田先輩は、ギュッと抱きしめた。




梓「あ・・・。」




沖田「昨日、言ったでしょ?梓は、僕のだから、誰にも触れさせちゃダメだって・・・。」




梓「え?それ・・・。夢じゃなかった?」




沖田「ぷっ!本当に面白かったよ?えっな夢見た!って慌ててるの。くくくっ。あははっ。」




梓「なっ!騙してたんですか!?」




沖田「勝手に一人で勘違いしてただけでしょ?」




梓「だって!厭らしい声出してたって・・・あ!」




沖田「夢だなんて一言も言ってないし~♪それに、厭らしい声出してたのは本当でしょ?」




そう耳元で、囁かれて、私は真っ赤になる。




梓「酷いっ!」




沖田「本当にバカだなぁ。梓は!」




梓「っ!」




私は、恥ずかしくて、沖田先輩に背を向けた。




梓「もう、いいです!」




すると、沖田先輩は、私を背中から抱きしめた。





沖田「梓は、バカで、すぐ人を信用して尻尾振ってついて行くし、言うこと聞かないし。ダメダメな駄犬だけど、そんなのを好き過ぎて、どうしようもない僕もバカなのかもね。」




梓「沖田先輩が、私の事、好き・・・?」




沖田「昨日も言ったよね?聞いてなかったの?」




梓「聞き逃して・・・。」




沖田「はぁ・・・。バカ!じゃあ、もう、言わない!」




梓「えぇ!?言って下さい!」




私は、向きを変えて、沖田先輩と向き合った。




はぁ・・・。と溜め息をついた沖田先輩。




沖田「僕は、梓の事・・・。」




梓「はい!・・・っ!」




好きと聞く前にキスをされた。




そして、押し倒された。




その夜も好きとは聞けなかったが、沖田先輩の気持ちは、たくさん受け取った。




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