沖田総司と運命の駄犬
約束
いつの間にか、辺りは、暗くなっていた。



カタッ。




襖が開いた。



梓「あ・・・。沖田先輩。お帰りなさい!あの甘味屋さん、物凄く並んでいたんですよっ!でもね!ギリギリで買えたんですよっ!ほら見て下さいっ!」




沖田「・・・。」




沖田先輩は、何も話してくれない。



暗くて、沖田先輩が今、どんな顔してるのか見えない。




何故か、この空気に不安になる。




梓「お・・・沖田先輩?どうしたんですかぁ?黙りこくっちゃって!沖田先輩らしくない!」




沖田「・・・ょうだい?」




梓「え?」




沖田先輩が顔を上げた。




梓「っ!」




苦しそうな沖田先輩の顔・・・。




嫌な予感がする。




沖田「ちょこ、ちょうだい?」




梓「へ?チョコ?」





沖田「うん。毎日、くれてたでしょ?最近、貰ってないから。甘い物が欲しいんだ。」




チョコは、池田屋事件があったときにほとんど使ってしまい、その後、少しずつ沖田先輩に、渡していて、とっくにもう無かった。




何だろ。嫌な予感が、ピリピリする。




梓「も・・もうありません。あ、甘いものなら、今日、買ってきた・・・。」




沖田「それじゃあ、僕の梓の世話役は終わりだね。」




梓「え?どういう・・・。」





沖田「最初に言ったでしょ?ちょこがある間は、面倒見るって・・・。無いなら、もう、僕は、お役御免だ・・・。あ~っ!やっと、終わった!長かった!だから、荷物纏めて、この部屋、出て行って?」




梓「確かにそうですけど・・・でも・・だって・・・沖田先輩、私の事、好きって言ってくれたじゃないですか!!」




沖田「そうだね。それは、ちょこが食べたかったから。あぁ、梓は、すぐ、信じるから、騙しやすかったよ?」





梓「じゃ、私とどうしてエッチしたんですか!!」





沖田「金が無かったから。タダで、抱けるなら、洗濯板でも目を瞑るしかないよね。金があったら、里音を抱いてたよ。」




その言葉に、胸を切られたような痛みが走る。



梓「っ!ひ・・っ。酷いっ・・・っ。最っ低っ!!」




私は、買ってきた、甘味の包みを沖田先輩に投げつけて、部屋から出た。





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