沖田総司と運命の駄犬



梓「酷いよっ!はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。酷い・・・よ・・・っ。っく。うっ・・・。うっ・・・。うっ・・・。」




私は、部屋を出て、屯所を飛び出した。




すると、後ろから声をかけられる。




土方「オイ!梓っ!こんな刻からどこに行くっ!」





梓「っ!」



私は、土方さんの問いかけには答えず走った。




土方「オイっ!ったく!」





胸が潰れそうだ・・・。




息が切れても、転けても、走った。



梓「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・っ。」




いつの間にか、町の外れまで来てしまっていた。




梓「ここ・・は・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。」




そうだ。ここは、初めて、沖田先輩と出会った廃屋だ・・・。




あの時は、沖田先輩は、お美代さんと付き合ってて、沖田先輩、お美代さんとラブラブだったよね・・・。




梓「ははっ・・・。懐かしいな・・・。あの時の沖田先輩、怖かったもんなぁ。女の人は、お美代以外、カス扱いだったし・・・。はぁ・・・。沖田先輩・・・。私・・・沖田先輩の事、本気で好きだったのに・・・。きっと、これ以上好きに・・・なる人なんて・・いないよ・・・。沖田先輩にも、愛されてるって、思って・・・っ。」




先ほど、言われた言葉を思い出して、また、涙が溢れた。




私は、そこに座り膝を抱えるように座った。




ここでなら、一人だし、思いっきり泣ける。




私は、泣きに泣いた。





そして、コロンと寝転がると、破れた襖のあいだから月が輝いていた。




梓「月・・・綺麗だなぁ・・・。私も、もっと、可愛くて、スタイルが、良かったら、沖田先輩のこと虜に出来たのかなぁ・・・。」




ぼんやりそんな事を考えていると、いつの間にか、眠ってしまった。









何だろう・・・。





甘い匂いがする・・・。






フワフワ温かくて気持ちいい・・・。









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